12th stage!

「KiRaRe、本校に潜入する」


扉イラスト:和泉つばす 挿絵イラスト:稀星学園高尾校美術部




「集合するみぃ! 作戦会議の時間だみぃ!」
 部室の中央に紗由以外の謡舞踊部の一同が集まる。
「紗由はどうしたみぃ?」
「あ、ちょっと遅れるって言ってました」
「遅刻なんて珍しい。まあいいわ。先に始めるみぃ」
 実がきりっと一同を見る。
「みんなもわかってると思うけど、次は東京都予選の決勝戦だみぃ! 相手はあのステラマリス! つまり、目標は、ステラマリスに勝つことみぃ! そこで、みんなにこんなものを用意してみたみぃ」
 実がメンバーにプリントを配る。一同は渡された紙に目を落とした。
「これは…いったいなんですか、みい先輩」
「舞菜、よくぞ聞いたみぃ。これは、このみいがあんたたちに足りないものをリストアップしてきたみぃ! 苦手なものの克服こそ、勝利への近道みぃ! 今日からこれに沿って猛特訓するみぃ!」
「「ええーっ!」」
 瑞葉、舞菜が声をあげる。
「うち、そんなん聞いてへんで~?」
「文句言わない! ただでさえ次の課題曲の準備もあっていろいろやることあるのに、効率よく進めていかないと、間に合わないみぃ!」
「…そこは問題ない。この前の課題曲で勝ったかえたちがまた作ればいい」
「ああ。ボクとプリンセスの手にかかれば、次の課題曲もちょちょいのちょいさ」
「ええ~? 今度はうちも負けへんよ~?」
「課題曲、またあるんですね」
「ま、そこはまたみんなで相談して進めてこうや~」
「とにかく! やることはいっぱいあるみぃ! ぶーぶー言わずに特訓するみぃ!」
「ボクは乗るよ、副会長。『特訓』はもともとボクの血を滾らせる三番目のホットワードだ。精一杯やらせてもらう」
「あんたは話が早くて助かるみぃ!」
 ガシッと手を組むみいと香澄。
「…『すべて足りない』…とは…」
「うちのとこ、『とにかく踊れ!』としか書いてへんのやけど」
「ぐだぐだ言わなーい! 全員、そこに書いてあるものを克服して、スキルアップするみぃ!」
 そこに、バーン! と勢いよく部室の扉が開く。
「あっ、紗由さん」
「紗由。ちょうどいいところに来たわ。あんたにもこの紙を……」
「あの、私、やっとわかったんです! 私たちに足りないものが!」
「え? どうしたん、めっちゃ燃えて」
「足りないって、何がだみぃ?」
「ステラマリスの偵察です!」
「え……」
「「「えええええ!?」」」
「さ、紗由さん…偵察って、どういうことですか?」
 舞菜は肩を微かに震わせて紗由を見た。
「どういうことも何も、私たち、優勝するしかないんです! 次もし負けたら、アイドルの道も断たれちゃう! うちのお父さんとお母さんも親戚じゅうに私がアイドルデビューするって言い広めちゃってるし、次の大会はみんな見に来るって言ってるし、『紗由。調子はどうなの』『紗由。全国大会はいつ? どこで?』『紗由、デビューシングルのタイトルは何?』ってプレッシャーもかけてくるし! もう、優勝しかないの!!」
「…紗由。眉間にしわができてる」
「あー、あかんよ~、そんなん作ってたら顔に残っちゃうで~」
「誰のせいですか! 誰の!」
 誰やったかな……と、とぼけてみせる瑞葉を無視して紗由は話を続けた。
「とにかく! 私たちに必要なのはステラマリスを研究すること! 舞菜!」
 紗由がビシ! と舞菜の両肩を持つ。
「は、はい…っ」
「行くわよ! 本校に!」
「え……で、でも…わたし……」
「舞菜、ステラマリスはすっごく強いのよ。負けちゃうと、もう私と一生アイドルできないわよ!」
「そ、それはだめ…。うん、わかった。わたしも行くね…!」
 紗由の勢いに押されて、舞菜も小さくうなずいた。
「それならボクも行くとしよう。君たちだけじゃ心配だからね」
「香澄さん! 助かります!」
「…フ…こんなこともあろうかと、スペシャル偵察マシーンDXをアップデートしておいた」
 かえが鞄の中から仰々しい機械を取り出す。
「かえも来てくれるの!?」
「ちょ、かえちゃん。そんなんいつの間に持って来てたん」
「…企業秘密」
「みんなありがとう! 4人で行けば怖いものなしよ!」
「なんだかすごいことになってきたんだけど、瑞葉、止めなくていいのかみぃ」
「ええよ。紗由ちゃんのやりたいようにやればええ」
「ありがとうございます! よーし! やるわよみんな! えい、えい、おーっ!」
 紗由に続いてノリノリで手を挙げる香澄とかえ。
「えい、えい、おーっ!」
「……おー……」
 舞菜は力なく笑うと、小声で二人についていった。



 そして、ステラマリスの偵察をする日がやって来て、紗由たち4人は稀星学園本校の校門の前に集まっていた。
「みんな。制服は同じだから、本校の生徒のつもりで、堂々と入って行けば大丈夫よ」
「…でも、念のためこれも付けて」
 そう言ってかえが取り出したのは本校のエンブレムワッペン。
「ありがとう、かえ! これで怪しまれることはもうないわね!」
「…お安い御用」
 一同は制服にワッペンを付け、校門を通って行った。
 奥まで進んでいくとセキュリティが厳重そうな最新のコンサートホールがあり、一同はそこで足を止めた。
「ここが、アイドル部の練習場……」
「というより、超有名なライブ会場とそんなに差がない立派なホールじゃないか」
「こんなすごいところで練習してるなんて…」
「場所なんて関係ないわ! こんなことに怯んでないで、中に行くわよ!」
「あ……あの……」
「どうかした、舞菜」
「あ……その……」
「?」
「ううん、なんでもない……ごめんね……」
「そう? じゃあ、中に行くわよ」
 そうして紗由たちは、アイドル部の練習するホールへと入って行った。
 中に入ると、外とは全く違う、ピリッとした空気が漂っていた。
「何この空気…」
「…アイドルの放つ空気じゃない」
「まるで、決闘に行く前のような、そんな緊張した空気が漂っているね……」
 紗由たちはそのあとも何重もの扉を慎重に潜り抜けて奥へと進んで行った。
 中に進めば進むほど、建物の中の空気は電気を帯びているかのようにピリピリとしていて、紗由たちの肌を微かにしびれさせていた。
 そして最奥にたどり着くと、アイドル部の部員たちが練習している鏡張りの部屋があった。紗由たちがこっそりと中を覗くと、正確なリズムを刻む電子音に合わせてアイドル部の生徒たちがステップを踏んでいた。
「いけない! ずれたわ! もう一回始めから…!」
「ここのステップ、全然納得できない!」
「ダメ。キレが悪い。もっとちゃんと踊らないと…!」
 アイドル部の女の子たちは自分自身の姿を鏡で見ながら、己に厳しく言い放っていた。
 誰ひとりとして妥協する様子がない。
「さすがというか、なんというか…。すごくやる気に満ち溢れているね…」
「本校の人たちはあんな風に、みんな自分に厳しいんです…」
 微かに震えながら舞菜が言った。
「…何十人といる部員と戦って、勝ち抜いて、代表に選ばれる……」
「それが、ステラマリス……」
 紗由たちはしばらくの間、圧倒されながら練習を見続けた。
 しばらくすると、かえが辺りを見回して紗由の袖を引っ張った。
「…紗由。大変」
「え? なに?」
「…舞菜がいない」
「えっ!」
「ほんとだ…いつの間に」
 舞菜の行方を探ろうと香澄が耳を澄ませる。
「舞菜の足音は……聞こえた! どうやら外へ行ったみたいだ。ボクは先に行っている!」
「あっ、香澄さん!」
 香澄が走り出して行ってしまう。
「かえ、私たちも行こう!」
「…うん」
 しかし、二人が走り出そうとすると、二つの人影と鉢合わせてしまった。
「誰だ、お前たちは」
「っ!?」
 紗由が驚いて足を止める。そこには背の高いクールな女性と、小柄でかわいらしい女の子が立っていた。
「あ、あなたたちは……ステラマリスの…!」
「…一条瑠夏と岬珊瑚…」
 名を呼ばれ、背の高い方の女性が微かに頷く。
「確かに。私はステラマリスの一条瑠夏だ」
「ふふん。珊瑚は岬珊瑚よ!」
 瑠夏に続いて小柄な女の子も名乗った。
「で、お前たちは?」
「そ、その…」
 瑠夏が紗由とかえをじっと見つめる。
「……そうか。どこかで見た顔だと思ったが、高尾校謡舞踊部のメンバーじゃないか」
「っ!?」
 言い当てられ、紗由とかえはごくりと息をのんだ。



 アイドル部の練習場ホールにて対峙している紗由たちとステラマリスの二人。
 厳しい視線を一条瑠夏が紗由たちに向けている。
「高尾校の者がこんなところで何をしている?」
「そ、それは…」
 瑠夏の鋭い視線に一歩後ずさりながら、言葉に詰まる紗由。
「まあいい。だいたい想像はつくよ。次の決勝戦に向けて、我が校のことでも探りに来たのだろう? ま、見たければいくらでも見るといい」
「うう……」
「…紗由。いいから舞菜を追いかけないと」
「そうだったわ…!」
「なに…? 式宮妹も来ていたのか?」
「それってもしかして、碧音お姉さまの妹の、あの式宮舞菜?」
「そ、そうですけど…」
「ふーん。いないってことは…また逃げたのね!」
「え?」
「珊瑚、噂で聞いたことあるのよ。その舞菜って子、すーぐ逃げ出すだめだめちゃんなんでしょ? 入学前に練習を見に来たら、怖くなって逃げ出しちゃったらしいじゃない!」
「な、なんでそれを…」
「ふん! 珊瑚のネットワークを舐めないでよね! というか、あんたたちもかわいそうねぇ、そんなだめだめなお荷物抱えて。自分たちの心配をしたほうがいいんじゃない? 逃げちゃうようなダメダメの腰抜けちゃんがいるんだから、そっちをどうにかしないとダメだと思うけどな~」
「……」
 紗由がピクリと眉をあげて珊瑚を見る。
「ま、今からどうにかしたって、どうにもならないだろうけどね。あーあ、大変よね~、足手まといが同じチームにいたら。その子のせいで負けることになるんだし。かわいそ~」
珊瑚が言い終わると同時に、紗由の血管の切れる音が響いた。
「ちょっと…あんた。さっきから勝手なことばかり言ってるけど…」
 静かに震えながら紗由がぽつぽつと言う。
「舞菜は……舞菜は、だめだめの腰抜けなんかじゃないわっ! 私たちを準決勝まで引っ張ってくれた、うちの大事なエースよ!」
「なっ、なんなのあんた! 珊瑚に口答えする気!?」
「当たり前でしょ! 舞菜のこと、何にも知らないくせに、勝手ばかり言うんだから!」
 紗由と共にかえも厳しい視線を珊瑚に向けている。
「ふうん。あんた、珊瑚とヤるって言うの? いいじゃない。乗ってあげるわ!」
「おい珊瑚――」
 瑠夏が止めようとしたにも関わらず、珊瑚が紗由たちに詰め寄った。
「珊瑚、これも知ってるのよ! あの子、うちを逃げ出すとき、ノーギャラだなんてやってられないって言って出て行ったってね!」
「は?」
 紗由とかえより先に瑠夏が珊瑚を呆れた顔で見る。
「こんなことも知ってるのよ! 他にもいっぱいオーディション受かってるのに、ハリウッドじゃないなら出たくないって言って全部蹴ったんでしょ!」
 そうなの? と紗由がかえと顔を見合わせる。かえが微かに首をかしげた。
「おい珊瑚。デマばかりだぞ」
「デマぁ!? じゃあこれはホントでしょ!? 入学テストのとき、たった10秒だけ歌って踊って先生たち全員スタンディングオーベーションだったってやつは!」
「それは式宮本人のことだろ。お前、ほんとに式宮妹のことを知ってるのか?」



「お、おっかしいわね…」
「なによ、何にも知らないんじゃない! 偉そうに、そんなんで舞菜のこと悪く言わないでよね!」
 紗由とかえが再び珊瑚を睨みつけた。
「もう~っ、珊瑚に嘘教えたやつ、あとで覚えてなさい! とにかく! 碧音お姉さまがかわいがる妹は珊瑚だけで十分なの! たとえ血がつながってなくても、珊瑚のほうが碧音お姉さまの妹に相応しいし、ダメダメな妹ちゃんなんか絶対絶対倒してやるって、今ここで決めてやったんだから!」
「こっちだってあんたなんか絶対絶対倒してやるわよ!」
「できるもんならやってみなさいよ! 珊瑚はね、3歳の頃からボイトレ受けてるのよ!」
「それが何だって言うのよ! 私は2歳の時には音階を全部覚えたわ!」
「珊瑚は1歳のときにはテレビのアイドルを完コピしてた!」
「私は生まれたときからアイドル目指してた!」
「珊瑚はお母さんのおなかの中にいた頃から目指してたもん!」
「私は前世から――!」
「ふんっ! あんたがどんだけ食い下がっても、そっちにはだめだめのあの子がいるんだから、あんたたちの負けは確定なのよ!」
「だから、舞菜のことを悪く言うなって言ってるでしょ!」
「…紗由。その場所変わって。口で言ってダメなら物理でなんとかする」
「え?」
 紗由が見ると、かえはIPPグラスを装着し、何やら物騒な機械を珊瑚に向けていた。
「…こんなときのためにグラスにレーザー機能を仕込んでおいた。一発でそこのチビを抹消してみせる」
「は? あんたの方がチビじゃん! 打てるなら打ってみなさいよ! レーザーくらい珊瑚のカリスマオーラで跳ね返してみせるわ!」
「…命が惜しければ訂正せよ」
「は? チビを? そんなの無理――」
「…違う! 舞菜のこと! 悪く言ったの全部!」
 珍しくかえが声を荒げた。
「かえ……」
「う、う、う、うっっっざ~~~~~っ! そっちがその気なら、珊瑚だってやり返してやるもん~~ッ!」
 珊瑚がかえに掴みかかろうと詰め寄って行く。しかし、かえに届く前に瑠夏に首根っこを掴まれた。
「そこまでだ、珊瑚」
「瑠夏!? 止めないでよ! 珊瑚、この子たちに、ぎゃふんッて言わせてやるんだから!」
「死んでも言うもんですか! ぎゃふんなんて!」
「…聞きたいならいくらでも。ぎゃふんぎゃふんぎゃふんぎゃふんぎゃふんぎゃふんぎゃふんぎゃふん――」
「きーーーッ! ムーカーツークー!」
「いい加減にしろと言っている!」
 瑠夏が珊瑚の首根っこを持ち上げた。床から足が離れ、じたばたする珊瑚。
「ちょ、ちょっと、放しなさいよ!」
「これ以上低レベルな口げんかは我が校の生徒として見苦しい。しばらく頭を冷やせ」
 瑠夏は珊瑚を脇に抱え、紗由たちに向いた。
「お前たちもだ。勝手に侵入したことを学校に報告されたくなかったら、このまま帰れ」
「うっ……。わかりました。お騒がせしてすみません。……帰りましょう、かえ。舞菜と香澄さんのところへ行かないと」
「…うん」
「それじゃあ、失礼します」
「二度と来るなーッ!」
 珊瑚が紗由たちの背に向かって叫ぶ。紗由とかえは振り返ると、
「「あっかんべー!」」
 と、珊瑚に向かって舌を出し、そのまま走って去って行った。
 紗由たちの背を見送っている瑠夏。
 ふう、とひとつため息をついて、珊瑚を床に降ろす。
「まったく。あいつらにも驚いたが…、お前もこんな風になるなんて、初めて見たぞ」
「ふんっ。たまたまちょっと熱くなっちゃっただけよ。お説教ならやめてよね!」
 やれやれ、と瑠夏がため息をつく。
 そこに、華やかな空気が漂った。
「二人とも、何かあったの?」
「ああっ、碧音お姉さま~っ! もお~、聞いてくださいよ~っ」
 珊瑚が碧音に抱き着こうとすると、瑠夏がそれを制した。
「いや、何もない。気にするな」
「え? でも、なんだか懐かしい匂いがするんだけどな~」
「えっ」
 と、珊瑚と瑠夏が碧音を見る。
「ふふっ、まーちゃんの香りみたいな……。でも、気のせいかな…。瑠夏~、さぼった分、私とちょっと練習して取り戻しなさいな」
「あ…ああ。わかった。頼む」
 碧音が瑠夏と共に練習場に戻っていく。珊瑚はひとりぽつんとその場に残った。
「碧音お姉さま…。まーちゃんって…、あの子が来たこと、わかるの…?」


「落ち着いたかい?」
「はい、香澄さん。一緒にいてくださってありがとうございます」
「これくらいで御礼なんていらないよ」
 舞菜と香澄は本校から少し離れたところにある公園のベンチに座っていた。
「わたし、まだ、あの場所が怖いみたいです…。足がすくんで…いたくなくなって…」
「気にするな」
「はい…」
 力ない笑顔を香澄に見せる舞菜。
「舞菜~っ…!」
 少し離れたところから声がして、舞菜と香澄が見ると、紗由とかえが来ていた。
「紗由さん、かえちゃん」
「…舞菜、大丈夫?」
「ごめんね、舞菜。私、舞菜の気持ち知ってたはずなのに、自分のことばかり考えて、無理やり連れて来ちゃって…」
「ううん、謝らなきゃいけないのは私の方。ごめんね、逃げ出しちゃって…」
 そう言いながら俯いていく舞菜の両肩を紗由が掴んだ。
「舞菜、私たち絶対に勝とう! 勝つしかないんだけど、勝とう!」
「紗由さん……」
「勝って、本校の人たちに舞菜はうちの立派なアイドルなんだってとこを見せよう!」
「…かえもやる」
「……二人とも…。ありがとう…! みんなが一緒ならわたし、頑張れる…。わたし、頑張るよ、紗由さん」
「うん!」
 にっこりと舞菜に微笑む紗由。
「あと、私、絶対あいつのことは倒してやるわ!」
「…待って。それはかえがやる」
「いいえ、私よ!」
「…ううん、かえが」
「私だってば!」
「…かえが!」
「な、何があったの二人とも…」
「なんだか、二人ともとっても燃えているね」
「よーし! みんないい? 打倒、ステラマリス!」
「…打倒、岬珊瑚!」

 そうして紗由や舞菜たちが円陣を組んでいた頃、木の陰から一同を見守っている瑞葉と実の姿があった。
「ふふふ。ええ感じにまとまってるわ~。やっぱり行かせてみて良かったなあ~」
「あんた、ほんとはステラマリスのことも本校のことも、全部知ってたくせに。偵察なんて行かせることなかったみぃ」
「そんなことないよ。こうやって対面すれば、やる気も出てくるもんやろ? うちらに今必要なんは、やる気や。だから、結果オーライや」
「ほんっと、意地が悪いわね~」
「さあ、あとは特訓あるのみやな」
 瑞葉は一通の封筒を取り出し、中から一枚の紙を取り出した。
 そこには『合宿に最適! おいでませ、襤褸寺!』と書かれてあり……。
「始めよか。地獄の合宿を」
 ふふふ……と柔らかく微笑む瑞葉。
「あんた、今度はいったい何考えてんの…?」
「ふふふふふ~」