14th stage!

「かえ、心情を語る」


扉イラスト:和泉つばす 挿絵イラスト:稀星学園高尾校美術部




 合宿二日目の朝。朝食をとっていた一同は思わず箸を止めた。
「「「「幽霊を見た!?」」」」
「みぃ…トイレに起きたとき…竹林の奥に青白い光が浮かんでで…そこで見てしまったみぃ…」
「どんな感じの人だったんですか!?」
 舞菜が顔を輝かせ前のめりにたずねる。
「着物を着た女だったみぃ…」
「わあ~、わたしも会ってみたいなぁ。紗由さん、今夜一緒に幽霊さんに会いに行かない?」
「バ、バカなこと言わないでよ! み、みい先輩、寝ぼけてたんじゃないですか!? も、もしくは、見間違いじゃないですかっ!? ほ、ほら、じゅ、住職さんだったとかっ」
 紗由が箸をカタカタ震わせながら味噌汁を一気に飲み干す。
「住職さんじゃなかったみぃ! あの顔は……明らかにこの世の者じゃなかったみぃ…」
「一体どんな顔だったんだい?」
「歪んでたみぃ…失敗した〝福笑い〟みたいだったみぃ…」
「なんや幽霊いうより、妖怪みたいやね」
「どっちにしろこの世の者ではないね。ちゃんと挨拶はしたのかい?」
「するわけないみぃ! みいはあの顔でほほ笑みかけられたみぃ! 怖くて逃げるしかなかったみぃ!」
「え? 〝こんにちは〟も〝さよなら〟も言わなかったの?」
 陽花が真顔でみいを見る。
「だから…そんな余裕…」
「それ、ちょっとヤバイかも…」
「み!?」
「な、なにがヤバいんですか…?」
 紗由がビクつきながらたずねる。
「ほら、幽霊に挨拶しないと祟られるっていうでしょー?」
「た、たたたっ、みぃ!?」
「そ、それ、ほほ本当ですか!?」
「うん。でね、視線を合わせると生気を吸われてー、最終的にはあの世へ連れていかれちゃうんだってー。あ、今日あたりお迎えが来るんじゃない?」
「みみっ!?」
「ヤ、ヤヤバいですよ、ど、どうするんですか!?」
「どどどど、みっ」
 怖がるみい。
 陽花があっさりと言う。
「あきらめるしかないかなー」
「みぃぃぃぃぃっ!?」
「もう、そのぐらいにしておけって」
 紫が呆れ顔で陽花に言う。
「長谷川さん、怖がる必要ないよ。今のは陽花の作り話だから」
「作り話…みぃ?」
「そう。陽花はこの手の話で人を怖がらせるのが好きなんだ」
「もう紫ちゃんたら、これから盛り上がるはずだったのにー」
 陽花が頬を膨らませ抗議する。
 みいがふうーと安心のため息を吐く。
「よ、良かったみぃ…本当の話だったらどうしようかと思ったみぃ…」
「でも…実ちゃんが幽霊見たのは本当なんやろ?」
「はっ…! そうだったみぃ…」
「もう部長! せっかく落ち着いたのに蒸し返さないで下さいよ!」
「案外、陽花ちゃんの話もホンマにあったりしてなー」
「止めて下さい!」
「紗由さん、やっぱり幽霊さんに会いに行こうよ!」
「なんでそうなるのよ!?」
「だって今の話聞いてたらよけい会いたくなったんだもん!」
「…くだらない」
 今まで黙って話を聞いていたかえが、カタリと箸を置く。
「…幽霊などという非科学的なもの、この世には存在しない」
「あれ? でもかえちゃん、ここに着いた時『怪しい気が漂ってるって』言ってなかった?」
 舞菜が不思議そうにたずねる。
「…覚えていない。とにかく、早く朝食を済ませて練習をするべき」
「おっ、柊さんやる気だね」
「…満々」
「いいね! よし、じゃあみんな、早く食べて練習と開始と行こうか!」
「「「「はい!」」」」



 二日目の練習メニューは初日の沢登りよりハードなものだった。
 体力強化を目的としたランニングから始まり、寺まで続く八百八十段の階段を2往復。最後は、各々の動きを合わせる事に比重を置いたダンスレッスンで練習は終わった。
 夕方。
 その日の夕食当番だったオルタンシアの二人は、カレーを作りながらKiRaReのことを話していた。
「ねえ、紫ちゃん、みんなの練習見ててどう?」
「うーん、正直、全体的なバランスはまだ良くないよな」
「だよねー。あ、ちょっと紫ちゃん、ニンジン多すぎー」
「陽花だってお肉の量多すぎだろ。もうちょっとバランス考えろって」
「まあ、たった二日でまとまるようになるって難しいと思うけどー」
「え? 何の話?」
「KiRaReの話」
「ああ…まあ、でも市杵島さんなんかは良くなってきてるかも。リズム感は相変わらず良くないけど、ツーテンポ遅れがワンテンポ遅れまでに進化してるし」
「紫ちゃん、それ進化じゃなくて、改善って言った方が分かりやすいよー」
「え? そう?」
 考える紫。その隙にさらに肉を入れる陽花。
「あ! だからお肉! 牛丼つくってるんじゃないんだから」
「あ、それいいね。カレーから牛丼に進化しまーす」
 煮干しと昆布の粉末だしを大量に入れる陽花。
「な、何してるんだよ!」
「大丈夫だよー、まだカレールー入れてないからー」
「そういう問題じゃないだろ……あたしはカレーが食べたかったよ…」
「じゃあ今からルー入れるー?」
「絶対ダメ! 絶対まずい!」
「牛丼に決定ー」
「はあ…」
 溜息を吐く紫。
「でねー、市杵島さんなんだけどー」
「え…? ああ…話の続きね…」
「密かに努力してるんだよー」
「うん?」
「歩いてる時とか走ってる時、たまに『と』って口から洩れてる」
「へえ、裏拍とってるんだ」
「うん。その時の市杵島さんの顔、のほほーん、てしてないんだよねー」
「そっか…本気で欠点をなんとかしようとしてるんだ…」
「なんかその言い方だと、今までが本気じゃないように聞こえるよー」
「え? いや、そうじゃなくて…ほら、〝のほほん印象〟が強いからさ」
「まあ、そうなんだけどねー。ところで、柊さんのこと、どう思う?」
「柊さんね…」
 真顔になる紫。
「圧倒的な体力不足。ダンスレッスンの時なんか、ほぼ動きが止まってたしな…。それよりもっと心配なのは…」
「体力なくてみんなについていけてないこと、気にしてるー」
「うん…気にしてるっていうか…焦ってるよな…」
「だね…」
「こういう時…コーチとしてどうしたらいいのかな?」
「うーん…どうしたらいんだろねー?」
 ぐつぐつ煮える鍋を見つめ、無言で考える二人。立ち上る湯気が二人の思考を曇らせる。
「そろそろ、ルー入れた方がいいじゃない?」
「うん…」
 カレールーを入れる紫。
「あれ? 紫ちゃん、今、ルー入れたー?」
「入れたけど…………あっ!」
「もう、牛丼だって言ったじゃなーい」
「だって陽花が!」
 慌てて近くにあったペットボトルの水を鍋に入れる紫だったが――
「紫ちゃん、それスポーツドリンクー!」
「え!?」



 深夜。
 眠れず何度も寝返りを打つ紗由。
「はあ…酷いカレーだったわ…」
 うっとなるのをこらえ、隣で幸せそうに眠っている舞菜を見る。
「もう舞菜ったら…幽霊に会いに行きたいって言ってたくせに、布団に入った瞬間寝ちゃうんだもの…こっちは朝の話とカレーのせいで眠れないっていうのに…」
 小さな声で呟き、再び溜息を吐く紗由。
 すると、もぞもぞと誰かが動く音がした。
 音の方を見ると、かえが布団から出て部屋の外へ向かおうとしている。
「お手洗いかしら…」
 廊下へ出たかえの影を、障子越しに見送る紗由。
 その時――、
「…あ」
 というかえの微かな声が聞こえた。
「かえ…?」
 何かあったのかと布団から身を起こす紗由。
 その瞬間、障子に青い光が浮かんだ。
「っ!」
思わず息をのむ紗由。
先程まで見えていたかえの影が消えている。
「か、か、か…っ」
 固まったまま動くことができない紗由。
 と、眠っていた舞菜が目をこすりながら起き上がる。
「紗由さん…?」
「ひゃあっ!」
 ギギギと首を回し舞菜を見る紗由。
「紗由さん…どうしたの…?」
「た…大変よ…か、かえが…ゆ、ゆ、幽霊に連れてかれたわ…」 
「え!?」
 目を輝かせ立ち上がる舞菜。
「紗由さん! かえちゃんを助けに行きましょう!」
「え?!」
 舞菜は紗由の手を引くと、勢いよく部屋を飛び出した。

 かえを探し寺の周辺を走り回っている二人。――と、竹林の奥で青白い光が見えた。
「紗由さん! あっち!」
 舞菜がグイッと紗由の手を引く。
「ちょっ!」
 竹林へ入る二人。と、何事かを話しているかえの声が聞こえた。
「かえちゃん!」
「か、かえ!」
 小道へ飛び出す二人。
「…あ」
 かえが二人に気付き、驚きの声を上げる。その瞬間、光の中に十二単を着た女性が現れた。
「ひゃああっ!」
 舞菜の首にしがみつく紗由。
 光の中にノイズらしきものが走り、歪な顔立ちになっている女性が舞菜と紗由を見る。
「どちらさまぁ?」
「わあ~!」
 舞菜が嬉しそうに女性を見つめる。
「ま、舞菜、し、し、視線を合わせちゃダメよ!」
 紗由がへっぴり腰で舞菜の前へ出る。
「あ、紗由さんっ」
「か、かえをさらって、ど、どうするつもり! わ、分かってるわよ! かえに憑りついて生気を吸うつもりね! そんなことさせない! かえをあの世には連れて行かせないわ!」
 強気に言い放つも、女性と決して目を合わせようとしない紗由。
「なにを言ってるのかしらぁ、この子ぉ?」
「あ、あの、幽霊さん?」
 舞菜が紗由の前へ出る。
「ま、舞菜!」
「ゆうれい?」
 きょとんとする女性。
「あの、初めまして、わたし、式宮舞菜といいます。えーと、お会いできて光栄です。それで、あの、お名前教えてもらっていいですか?」
「ヒトエ…だけどぉ…」
「わぁ! 良いお名前ですねえ!」
「舞菜! 世間話してる場合じゃないでしょ!」
「え? でもせっかく会えたんだし……あ、ヒトエさんはどちらからいらしたんですか?」
「どちらってぇ…そこの中からだけど」
 女性がかえのIPPグラスを指差す。
「へえー、IPPグラスの中から来たんですねぇ…………あれ?」
 顔を見合わせる舞菜と紗由。
「「え…?」」
 紗由がかえを見る。
「かえ…? どういうこと…?」
 かえがふうーと溜息を吐く。
「…見られたなら仕方がない…ヒトエさんはかえがつくったホログラム…〝いにしえの ひとえ桜 時経ても なおもにほうて 衣重ぬる…ぬる〟ヒトエさんの着物一枚は一時代の歴史。悠久の時を経てもなお美しく咲きほこり、みんなに光りを与える……万本桜の精…!」 
「桜の精…?」
 紗由が首をかしげる。
「…つまり、幽霊じゃない」
「そうなの!?」
「…うん」
「もうぉ、失礼しちゃうわぁ。私を幽霊と間違うなんてぇ」
「…ホログラムは黙っててて」
「なによぉ、そのホログラムに夜な夜なアドバイスもらってたくせに」
 クッと悔しそうな顔をするかえ。


  「…そのアドバイスの成果が全然でない。かえのイライラはそろそろマックス。一体全体どういうこと…!?」
「どういうことってぇ、私をプログラミングしたのはあなたでしょう? あなたに問題があるんじゃない?」
「…なっ…か、かえは怒った…!」
「あ~、はいはい、分かったわよぉ~。これ以上かえちゃんの機嫌を損ねないように私はお暇するとするわぁ~」
IPPグラスの中へと戻るヒトエさん。
「え…と、アドバイスとか成果とか…話がよく見えてこないんだけど…かえはつまり、ホロとなにをしていたの?」
 紗由が困惑しつつかえにたずねる。
「…それは…言いたくない」
「なぜ…?」
 黙ったままのかえ。
「じゃあさ、お風呂行こうよ!」
 舞菜が唐突に切り出す。
「え? 舞菜何言ってるの…」
「昨日住職さんに教えてもらったんだけど、近くに温泉があるんだって!」
「そうなの!?」
「うん!」
「いいわね! かえ、行きましょうよ!」
 二人の勢いに押し切られるかえ。
「…え、え…と、わ、わかった」



 三人は寺から少し離れた岩場にある露天風呂に入っていた。
「はあ~、気持ちいい~」
「そうねぇ…」
「ねえ、かえちゃん、ヒトエさんて、さっき自分でIPPグラスの中へ帰って行ったけど、出て来る時ってどうやって出て来るの?」
「…ヒトエさんは基本、自発的にいつでもどこでも出てきたい時に現われる。でもかえ以外の人の前には出て来ないよう、お願いしている」
『そうなのよぉ~』
 ポンとかえの側にあったIPPグラスの中から出て来るヒトエさん。
「で、出て来たわよ…」
 紗由が若干引きながら言う。
「いいのよぉ、もうお二人には見られちゃったんだしぃ」
「…まあ…仕方がない」
「でも、いつでもどこでもってことは、おトイレの中でも出てきちゃうの?」
「…おトイレでも」
「えっ…!?」
「それで? かえちゃんはヒトエさんとなにをしてたの?」
「話とんだわね…」
 紗由が呆気にとられる。
「…それは…」
「私が話してあげるわぁ」
「…よけいなことをしないで」
「かえちゃんはね、私から体力UPのアドバイスを受けて夜な夜な特訓していたのよぉ」
 かえを無視して話し出すヒトエさん。
「体力UP?」
「特訓…?」
「ほら、かえちゃんて体力ないでしょ? ステラマリス戦が近づいてきているのにみんなについてけなくて悩んでたわけよぉ。だから、私、草葉の陰からみんなと練習してるかえちゃんを見て、今日のダンスは動きが大きかったとか、足を上げ過ぎて走るから疲れちゃうんだよぉ、とか教えてあげてたわけぇ」
「その助言をもとにかえは夜な夜な特訓を?」
「そうなのよぉ。あ、実は合宿前からずっとやってたのよぉ」
「そうだったんだ…でもかえちゃん、なんでヒトエさんだったの?」
「…え?」
「そうよね…アドバイスとか特訓に付き合うとかだったら、まず私たちに言ってくれれば良かったんじゃない?」
「そう言ってくれるって分かってたから、らしいわよぉ」
「「え?」」
「だからぁ、みんなが協力してくれるって分かってたから言えなかったのよぉ」
「どういう…ことなのかしら…?」
 理解できず、紗由がヒトエさんにたずねる。
「つまりぃ~」
「…ヒトエさん、喋りすぎ…!」
 かえがジト目でヒトエさんをにらむ。
「も~、分かったわよぉ~。まったくかえちゃんたらすぐ怒るんだからぁ~」
 などとブツブツ言いながら、渋々IPPグラスの中へ戻っていくヒトエさん。
「帰っちゃった…」
「それで? つまり、どういうことなの、かえ?」
 紗由が話の続きを催促する。
「…つまり…」
 かえが少し言い辛そうに続ける。
「…誰かに頼ることはその人の負担になる。ただでさえ、かえは体力がなくてみんなの足を引っ張っている…これ以上みんなに迷惑かけたくない。だから言いたくなかったし、自分でなんとかしようと思った」
「そうなのね…」
 かえの想いをかみしめるように紗由は呟いた。
「でも…私はかえに迷惑かけられてるなんて思ったことないわよ」
「…え?」
「うん…どちらかと言うと、迷惑ならわたしのほうがいっぱいかけてるかも…川で練習した時なんか流されてばかりでいっぱい助けてもらったし…予選の最初の時だって…」
「私もそうよ。お母さんと喧嘩した時、舞菜の家に押しかけていろいろ相談に乗ってもらって…舞菜に迷惑をかけたわ」
「そんなことないよ! あの時も言ったけど、わたしは嬉しかったよ」
「うん…そうね…」
 紗由が真顔でかえを見る。
「私もそうよ…かえ…」
「…『そう』?」
「舞菜と一緒で…頼ってくれたら嬉しい」
「…でも」
「なら、かえはどうなの?」
「…え?」
「もし私たちの誰かが、かえのように一人でなんとかしようとしてて、でもどうにもならなくて…そんな時、かえはどうするの?」
「…力に…なりたいと思う…」
「そうよね? それは部長も…香澄さんも…みい先輩も同じだと思うわ」
「みい先輩は『とっとと言うみぃ! 水くさいみぃ!』って怒りそうだよね」
「香澄さんなんか『おお…マイプリンセス! すまない…ボクとしたことがプリンセスの気持ちに気付けなかったなんて…』とかいって落ち込みそうよね」
「じゃあ部長さんは?」
「部長は…『うちらは仲間やん?』とか優しく言っといて、その後『うちのリズム感もなんとかしてな~』て乗っかって来る感じかしら?」
「あははは」
 舞菜の笑い声が、のどかな空気感をつくる。
 かえに向かって、そっと手を差し出す紗由。
「かえ、ホロとじゃなく…私たちと一緒に頑張りましょう」
 舞菜も手を差し出す。
「かえちゃんは、一人じゃないよ」
 二人の手を見つめるかえ…………その手をゆっくり取り――。
「…うん」
 と…静かにほほ笑んだ。



 帰宅の日。住職に挨拶を済ませ、一同はバスに揺られていた。
「みんな最後のダンスレッスン、なかなか良かったよー」
「うん。とくに…」
 オルタンシアの二人が同時にかえを見る。
「「柊さん」」
「…え?」
「体力的にはまだまだだけど…なんていうか…合宿の初日に比べるとリノベーションが違うっていうか…」
「紫ちゃん、それモチベーションねー」
「え? そう? まあ、似たようなもんだよ」
「そうやねー」
「どこがみぃ…」
「とにかくだ! ほんと良かったよ!」
「やったじゃないか、プリンセス」
「…うん」
 かえも嬉しそうに頷く。
 舞菜と紗由が、笑顔で『良かったね』とかえを見つめている。
「そういえば……実ちゃんの見た幽霊ってどうなったん?」
 舞菜、紗由、かえが顔を見合わせる。
「みっ! 瑞葉、思い出さなくていいことを思い出すなみぃ!」
「舞菜と紗由は会いに行くって言ってたよね?」
「あ、えーと…」
 目を泳がせる舞菜。
「幽霊…って…なんだったんですかね~?」
「やっぱりみい先輩、寝ぼけてたんじゃないですか?」
 とぼける舞菜と紗由。
「そんなことないみぃ! みいは確かに見たみぃ!」
「はいは~い。そうやね~」
「あ、瑞葉、信じてないみぃ!?」
「そんなことあらへんよ~」
 などと話している実たちを見てくすくす笑い合う舞菜、紗由、かえの三人。
 バスの窓から差し込む明るい陽ざしが、かえの笑顔をより輝かせていた――。