16th stage!

「舞菜、勝利を誓う」


扉イラスト:和泉つばす 挿絵イラスト:稀星学園高尾校美術部




「お姉ちゃん…!」
 姉を目の前にして戸惑う舞菜に、碧音は抱きついていた。
「また会えたね、まーちゃん!」
「あ……」
 言葉が出てこなくて、その場で立ち尽くしてしまう舞菜。
「舞菜っ!」
 紗由は慌てて駆け寄ろうとしたが、珊瑚とのスクワット勝負で疲れていたのか、足がもつれてしまう。
 その紗由の横を通り抜けて、舞菜と碧音の元に歩み寄ったのは瑞葉だった。
「本校の皆さん、対戦前に騒ぎを起こしてごめんなさいねえ」
「えっ?」
 そう言われて、初めて碧音は舞菜から視線を外して周りを見た。
「騒ぎ?」
 今まで何が起きていたのか、碧音は全く理解していないようだった。
「その通りだ、碧音。珊瑚が高尾校の一年生と意地を張りあっていたらしい」
「全部うちんとこの管理不行き届きやわ~」
「そう…ね。騒ぎが…」
 碧音は冷静な表情に戻ると、抱きついていた舞菜から離れる。
「舞菜っ!」
 ぼう然としている舞菜を支えるように、紗由とかえが駆け寄る。
「大事なステージを前に、何かあったらステラマリスさんに申し訳ないわあ。ほんま、ごめんやわ」
 なおも、丁寧に頭を下げる瑞葉。
「いや、こういうことはお互いさまだと思う。きっと珊瑚にも落ち度があったはずだ。こちらこそ申し訳ない」
 瑠夏はその瑞葉を押しとどめるように言う。
「ちょっと瑠夏! そんなに謝ることなんてないんだから!」
 珊瑚はまだむくれたまま口を差しはさんだ。
「悪いのは全部、あの月坂紗由ってやつよ!」
「なんで私のせいなのよ!」
「いちいちあんたが突っかかってくるからでしょ!」
「突っかかってきたのはそもそもあんたでしょ!」
 紗由と珊瑚の言い合いが再びエキサイトしかけた時――
「騒ぎはよくないわ。もうすぐ大切なステージだもの」
 すぐそばでたたずんでいた碧音がそう口にした。
 それは全然大きな声ではなく、誰に話したのかもわからないひとり言のような言葉だったが、大声を出していた紗由や珊瑚の耳にもハッキリと届いた。
「う…」
「碧音お姉さま…?」
 自然に言い合いは止まり、その場の全員が碧音を見た。
「そうよ。やっとまーちゃんと、ステージで会えるんだから。ねえ、そうでしょ、まーちゃん?」
 碧音は、まるでその場には舞菜以外誰もいないかのように舞菜を見つめて微笑んだ。
「舞菜…」
 紗由は舞菜の身体を支えていた腕に力を込めた。
 碧音に微笑まれた舞菜は、その時ハッキリと身体を固くしていた。
「大丈夫、舞菜? 一緒に控室に戻ろう」
 小さな声で舞菜に声をかける紗由。
「ありがとう、紗由さん」
 舞菜はその紗由を見つめ返した。少し蒼白でまだ緊張の解けない表情だったが、その口元には、ハッキリとした意志が現れていた。
「もう、大丈夫」
 舞菜はそう呟くと、紗由とかえの手から離れて一人で立って、碧音を見返した。
「お姉ちゃん、わたしも楽しみだよ、このステージ」
 舞菜は碧音の眼を真っ直ぐ見てそう言った。
「これはわたしたちKiRaReの大切なステージ。東京都予選の決勝だから! わたしたちは六人で、これからステラマリスと戦うんだから」
「まーちゃん…!?」
 驚いたように舞菜を見返す碧音。
「舞菜…、あなた、今戦うって…!?」
 紗由も思わずそう呟く。
「お姉ちゃん、舞菜は小さい頃からずっとお姉ちゃんの後を追いかけて、お姉ちゃんに憧れてた。今もそうだよ。でも、このステージでは違うの」
 そう語る舞菜の目には、もうためらいはなかった。
「わたしたちはこれから、ステラマリスと戦って、そして勝つの」
 いつもの舞菜らしくない、強い言葉が放たれて、そしてほんの少しの間、誰も続く言葉を口から出そうとしなかった。



「まーちゃ…」
 碧音が口を開けようとした時、同時に瑞葉と瑠夏が、二人の間に割りこんだ。
「さあ、大切な大切なステージのリハーサルがもう始まるわ。急がんと間に合わへんよ~」
「碧音、珊瑚、こちらも控室に戻ろう」
 瑞葉と瑠夏は、互いに舞菜と碧音を引き離すように押しやった。
「あ、部長…」
「ほら、舞菜ちゃん、準備準備!」
「え、このままでいいんですか、部長?」
 思わず声を出す紗由。
「というか、本当にリハーサル五分前だよ、紗由」
「今からダッシュでいかないと間に合わないみぃ!」
 そばで見ていた香澄とみいの二人が、瑞葉に並んでそう言った。
「わっ! ホントだ。やばい!」
「…舞菜、急ぐべき」
 時計を見て、時間に気づいて慌てる紗由とかえ。
「うん」
 舞菜は紗由とかえに並んで走り出した。
 紗由は走りながら、チラリと背後を見た。
 そこにはまだ、ステラマリスの三人が立っていた。
「舞菜、がんばったね」
 紗由が隣の舞菜に声をかける。
「え?」
「…勇気を出してよく言った。…感動した」
 反対側から、かえもボソリとつぶやいた。
「うん、感動した!」
「もう、やめてよ二人とも…!」
 舞菜は恥ずかしそうに顔を赤くして、それからポツリと言った。
「がんばろうね」
「うん、がんばろう」
「…がんばる」
 紗由とかえも、その言葉にうなずいた。

 KiRaReの六人が去った後も、ステラマリスの三人はその場に残っていた。
「何よあれ、碧音お姉さまに勝っちゃうぞ宣言!? なにそれ? あり得ないわ、生意気よ! いや、生意気通り越して不遜よ。不敬よ。お姉さま不敬罪で有罪よ。執行猶予無しよ」
「お前は先に控室に戻ってろ」
 瑠夏に言われて、珊瑚は不服そうな顔をする。
「だってホントに生意気なんだもん…」
「戦う相手に勝つ宣言をしたくらいでそんなことを言うものじゃない。…まあ、私も少し驚きはしたが…」
 瑠夏はそう言って碧音を見た。
 言い合う二人の脇で碧音は一言もしゃべらず、ずっと舞菜が去った方角を見つめていた。
「碧音…」
 瑠夏は碧音に声をかける。
「私の記憶では確か、碧音の妹は、人と争うことを恐れて本校を去ったはずだ。確かそう聞いていた」
「ええ、本当よ」
 瑠夏を見ずに答える碧音。
「そんな子が、まさか、私たちと戦って勝つなんてことを口にするとはな…」
「頑張って言ったのよ。一生懸命、頑張ってそう言ったの」
 碧音の目にはまだ、とうに去ったはずの舞菜が映っているようだった。
「まーちゃん、凄いわ。成長したのね」
 嬉しそうにそう呟くと、碧音はやっと瑠夏と珊瑚を見た。
「さあ、控室に戻りましょう。楽しいステージが始まるわ」



 ステージでは、KiRaReのリハーサルが終了していた。
「もう時間やわ。さあ、控室に戻ってステージの準備を始めよか」
 六人はリハーサルに手ごたえを感じていた。
「…いい感じ」
「プリンセスもそう感じたかい? ボクもそうだ。今日のステージ、パーフェクトな仕上がりで挑めそうだよ」
 汗を拭きつつ笑って話すかえと香澄。
「ほんまにここまで息が合うなんて。合宿の成果が出たわあ」
「この程度で満足してられないみぃ。ステラマリスを倒すには、コンマ一秒のずれも許されないみぃ。控室で最後の詰めをするみぃ!」
「わかったわかった。もう、相変わらずやなあ…」
 厳しいことを言いつつ、三年生の二人も満足そうだった。
「舞菜、私どうだった?」
「紗由さん、凄く良かったよ!」
「ホント? 二番のサビのところの左足からのステップ、少し早くなかった?」
 紗由はまだ、自分の動きに納得できないようだった。
「ううん」
 舞菜は首を横に振る。
「紗由さんはいつだって私たちのセンターにいて、みんなをリードしてるんだよ。早くなんかなかったよ」
「私が…みんなをリード…?」
「うん。わたし、いつだって紗由さんを見てるからわかるんだ」
「わ、私だっていつも舞菜を見てるわよ!」
 慌てて言う紗由。
「だから私たち、よく目が合うんだね」
「え…」
 舞菜の言葉に紗由の頬が赤くなる。
「そ、そうね。私も前から、舞菜とよく目が合うなって思ってた…」
「紗由さん…、最高のステージにしたいね」
「うん。絶対にそうしよう」
 二人はもう一度目を合わせてうなずくと、四人の後に続いて控室に向かった。



 決勝の前には三位決定戦が組まれていた。
 準決勝で敗れた二組が、観客の前でステージを繰り広げる。
 もちろん、一方の組はKiRaReと戦ったオルタンシアだった。
 オルタンシアの陽花と紫の二人は、相変わらず息の合った完璧な動きのダンスをしていた。激しいアクロバティックな動きも軽々とこなしていた。
「すごいね…」
 ステージ脇で見ていた舞菜と紗由も、息を呑むステージの完成度だった。
「このペアに私たちが勝てたのって、奇跡かもしれない」
「うん…」

 ステージが終わり、オルタンシアの二人が脇に戻ってくる。
「あ、KiRaReのみんな、見てくれてたの?」
「うん! 凄かったよ。最高だった」
「今度はターン、上手くできてたよね?」
 紫が舞菜に尋ねる。
「はい。完璧でした!」
「そっかー。なら三位はもらいかー。あ~あ、これが準決でできてたらなー」
「そしたら決勝は私らだったのにね♪」
「そうだそうだ、あははは!」
 オルタンシアの二人はひとしきり笑って、そして、
「さあ、今度はKiRaReの番だよ」
「私たちのぶんも頑張って! きっとステラマリスを倒してね」
 そう、真剣な表情で言った。
 と同時に、場内に、決勝の開始を予告するアナウンスが流れた。
「間もなく、プリズムステージ東京都予選、決勝を開始いたします」

 六人は黙ってステージの脇に集まった。
 さっきまで開いていたステージの幕は閉まっていて、観客席は見えない。
「さあ、泣いても笑っても最後やなあ」
「最後なんて縁起の悪いこというの禁止みぃ!」
「ごめんごめん。決勝っていう意味でいうたんよ」
「部長、決勝と言ってもあくまで東京予選だ。この先もプリズムステージは続くんだよ」
「…そう、全国まで続くロングウェイ」
「そうだな。ボクたちKiRaReの道はまだまだ続くんだ」
「あの…」
 紗由がふと言う。
「KiRaReって名前、誰が思いついたんでしたっけ?」
「あれ?」
「誰やったっけ?」
「私じゃないみぃ?」
「いや、違ったと思うけど」
「…かえじゃない」
 お互いに顔を見合わせる六人。
「紗由ちゃんやなかった?」
「いえ、違います」
 首を横に振る紗由。
「おかしいな。誰だか思い出せないんです」
「でもわたし、名前が決まった時のことは、ハッキリ憶えてるよ」
 舞菜がそう口にする。
「誰かがKiRaReって言った時、その瞬間にこれだって、思ったのを憶えてるの」
「うん、私もそうだった。私もそう感じたの」
「うちもや」
「みいもみぃ!」
「…かえも」
「ボクもさ」
「六人がみんな違ってて、でもみんなが一つに集まって、キラキラと輝いてる。そんなわたしたちにピッタリの名前だって思ったの」
「うん、私も」
 舞菜の言葉にうなずく紗由。他の四人も同じようにうなずく。
「やっぱり、KiRaReをこれで最後にはできへんなあ」
 瑞葉はそう言うと、六人の中心に右手を伸ばした。
「当然みぃ!」
 みいがその瑞葉の手の上に、自分の手を重ねる。
「同感だよ」
「…右に同じ」
 香澄とかえも。
「わたしも」
 舞菜も。
「うん。もちろんだよ!」
 紗由が一番最後に手を重ねる。
 その言葉は、自然と紗由の口からこぼれて出た。
「KiRaRe! 輝け!」
 みんながその目を見合わせて、続いて声を上げる。
「KiRaRe! 輝け! 私たちの夢!」
 顔も目も、何も見なくてもその瞬間、六人は心が一つになっているのを感じていた。
 重ね合った手を上にあげていくと、ステージの上のキラキラと輝く照明の光が六人を包み込んでいた――



「決勝の第一組は、稀星学園高尾校謡舞踊部、KiRaReです」
 アナウンスが流れて、会場から盛大な拍手が起きる。
 六人はステージの脇から、真ん中に飛び出して行く。
 その六人の姿が現れて、拍手はより一層高まった。
 観客の中からは、「KiRaRe」とグループの名前を呼ぶ声も聞こえていた。時には単独のメンバーの名前を呼ぶ声もわずかだがあった。
 六人は走ってきた足を緩めて、ステージの真ん中に横一列に並んだ。
「こんにちは、みなさん! KiRaReです!」
 ステージの上で声を上げるのと同時に、曲が始まった。
 六人はぴったりと息を合わせて歌い始めた――

 ステージの脇では、ステラマリスの三人がKiRaReのステージを見つめていた。
「どうだい珊瑚? KiRaReのステージは?」
「ふ、ふん。この珊瑚の…、そして、碧音お姉さまのいるステラマリスとは勝負にもならないわ!」
 あからさまに強がって言う珊瑚。
「だが、予選や準決勝に比べると、段違いに良くなっていると思わないか?」
「ま、まあ、それは認めないでもなくもないけども」
 珊瑚の目は、ずっとステージ上の紗由を追っていた。
「気になるのかい、月坂紗由が?」
「まあね。態度だけデカくってステージがダメダメだったら、後で思いっきりバカにしてやろうと思って見てたのよ」
「フッ…」
 軽く笑う瑠夏。
「ダメダメとはとても言えないな」
「ま、まあね。あのKiRaReの中では、まあ、一番マシなほうかもしれなくもないかもしれないわ」
「そうか。じゃ、碧音の妹はどう思う?」
「え…!?」
 碧音の名前を出されて、珊瑚は少し戸惑う。
「大丈夫だ、思った通り言っていい」
 そう言われて、珊瑚は舞菜に目を移す。
「あ、あの子は相変わらず目立たないわ。一応失敗もしてないし、紗由の隣でなんとか歌もダンスもこなしてるけど、でも、それだけって感じ」
 珊瑚はそう言うと、再び紗由に視線を戻した。
「……碧音、お前の妹は面白いな」
「そう?」
 瑠夏は珊瑚から少し離れると、碧音に話しかける。
 珊瑚は言葉と裏腹にKiRaReのステージに集中していて、瑠夏が碧音に声をかけたことにも気づいていなかった。
「予選の時はあまり気づかなかったが、準決勝の頃からだんだんとあのKiRaReの六人の中で、私はあの式宮舞菜から目が離せなくなってきている」
 瑠夏は、ステージのKiRaReの中で歌い踊る舞菜を見て言った。
「あの子は一見すると目立たない。だけど、実際にはあの六人の一番中心にいる」
「センターは二人よ」
「そうだ。だけど、六人を、自分を含めて六人をいつもお前の妹は完璧に見ているんだな。そして、自然にそのメンバーの間を取り持ち、全員の気持ちを繋げている。それも、たぶん無意識に…」
 瑠夏の言葉を聞きながら、碧音はずっと舞菜を見ている。
「あの子は小さい時からずっと私を見てた。私に憧れて、私についてきて。私の歌の真似をして、私の踊りについて踊ったわ」
「ああ、何度も聞いたよ」
「私、あの子と一緒にいると、いつもの自分よりももっと上手くなってるのに気づいたわ。歌も踊りも、ほんの少しだけど、自分一人の時よりも上手くいくの。自分の理想の自分に近づけるのよ」
「碧音、お前が今よりも上手くなるっていうのか?」
 驚く瑠夏。
「ええ。たぶん今、ステラマリスにまーちゃんがいれば、ね」
 確信を持ってうなずく碧音。
「そうか…。お前があれほど、あの子をステラマリスに入れたがった理由がやっとわかったよ」
 瑠夏はそう言うと、碧音に並んで再びKiRaReのステージを見た。
 歌は気がつくとサビになり、音楽は一段と盛り上がっていく。
「……そんな理由じゃないわ」
 小さく呟いた碧音の声は、その音楽にかき消されて誰にも聞こえなかった。
「まーちゃんは…、それ以上の可能性がある子なの… でも、それはあそこでは花開けない…」
 碧音はじっと舞菜を見つめて言う。
「まーちゃん、それができるのは、私だけよ││」





 KiRaReのステージが終わった。
 観客席からは、万雷の拍手が起きていた。観客はみな立ち上がっていた。
 スタンディングオベーション。それは今までの予選では、ステラマリス以外には誰も起こせなかった、観客席満場総立ちだった。
 降り注ぐ拍手の嵐の中で、KiRaReの六人はしばし立ち尽くした。
 自分たちの全力を出し切ったステージ。それを受け入れ、感じてくれた観客。
 ステージと観客席が一体化した瞬間を、KiRaReは初めて感じていた。
「すごい、すごいね、紗由さん…」
「うん…」
 紗由も舞菜もステージの上で感動に浸されていた。
「アイドルって、すごいね」
「うん…」
 二人だけでなく、他の四人も同じように感動に包まれていた。

 拍手は一向に収まる気配がなかった。
 KiRaReのメンバーたちが手を振り、ステージから去ってもまだ、観客席から大歓声が聞こえていた。
 それを終わらせるかのように、次の組の登場が告げられた。
「続いて、第二組のステージです」
 そのアナウンスで、やっと拍手は少しずつ収まっていった。

 ステージの脇に集まったKiRaReの六人には、自分たちの全てを出せたという満足感があふれていた。
 今、自分たちにできる最高のステージを、最高のパフォーマンスをして、それを観客席にも完全に伝えきる。一方でそれを見た観客たちは、自分たちが受けた感動を、ステージ上のアイドルたちに伝え返す。
 ライブというリアルタイムのステージだけに可能な本物の瞬間を、KiRaReと観客席は共有していた。
「これが、奇跡ってもんなんかなぁ」
 珍しく頬を紅潮させて瑞葉がポツリと言った。
「奇跡はこれからみぃ!」
 強くみいがうなずいた。
 六人はステージの脇に集まり、自然に手を繋いでいた。
 伸ばした紗由の左手を、舞菜の右手がしっかりと握る。
「紗由さん」
「舞菜…」
 二人は黙って目を見交わしてうなずいた。
 そして、もう一度ステージを見つめた。
「決勝第二組は、稀星学園アイドル部、ステラマリスです」
 アナウンスと同時に、観客席から再び拍手が起きる。
 そしてステージに、三人の少女たちが姿を現わした――